佐々木俊尚著の「起業家2.0」(小学館)という本が先月2007年12月に出版された。IT分野での起業家は3つの世代に分類できるそうだ。私の解釈は以下の通り。
▼第1世代(1955年前後生まれ、現在50歳前後)
・ソフトバンクの孫正義
・アスキーの西和彦
・アップルのスティーブ・ジョブズ
・マイクロソフトのビル・ゲイツ
など、ITインフラの飛躍的発展に貢献してくれた経営者たちだ。
▼第2世代(1968年前後生まれ、現在40歳前後)
・楽天の三木谷浩史
・サイバーエージェントの藤田晋(同郷の福井出身)
・ライブドアの堀江貴文
など、インターネット勃興期に貢献し、ネットバブルを創り出した。ヒルズ世代とも言う。
▼第3世代(1976年前後生まれ、現在32歳前後)
ナナロク世代というそうだ。この本ではこの世代のベンチャー起業家たちを取り上げている。登場するのは以下の9社12人。
・エニグモの須田将啓&田中禎人
・mixiの笠原健治
・アブラハム・グループ・ホールディングスの高岡壮一郎
・ゼロスタートコミュニケーションズの山崎徳之&羽田寛
・チームラボの猪子寿之
・ルーク19の渡辺明日香&飯島淳代
・paperboy&co.の家入一真
・フォートラベルの津田全泰
・はてなの近藤淳也
私は年代からいうと2.5世代といったところか。ここ5年くらいのネットでの出来事が、自分のSE人生とともに振り返ることができ楽しめた。共通するのはどの起業家も大変なご苦労をしているということ。そして単に規模だとか競争だとかを追うのではなく、自分のアイデア・ビジネスモデルでどこまで勝負できるのかを世の中に試してチャレンジを続けているということ。
起業にしろ仕事にしろ恋愛にしろ何でもそうだが、目標を持てば必ず壁がある。壁がないような目標は設定が甘い。その壁が厚く高く重いほど、壁を押しのける力がより多く必要で時間もかかる。凡人はピクリとも動かない壁に疲れあきらめる。
しかし、ピクリとも動かない壁にも与えた力の分だけエネルギーは溜まっていく。ぶつかってぶつかって、あきらめずにぶつかり続けて乗り越えようとする。どんどん力は溜まっていく。ある瞬間その壁は溜まり続けたエネルギーによって崩壊する。その溜まった(位置)エネルギーは、今度は運動エネルギーとなって、推進力に変わる。壁が厚く高く重いほど位置エネルギーの量が大きく、運動エネルギーに変わった時の推進力も大きく、遠く高く速く走ることが出来る。物理も目標も同じようなものだと思う。
自分でもミラクルにしか思えないことが起きる。
P.S.
ちなみにこの本の22ページに私も登場する。実名ではないが、「システムがわかる外部の専門家」として、半年開発したというエニグモ様の2人と開発受託先に行き、出来上がりをチェックしにいった。DB項目設計も作らないままに、システム内部が複雑なバイマの決済システムを作っていて、やってもやっても障害が出るという状況だった。それはそうなるだろう。多くのステータス遷移があるのに何の仕様書もなければ、1本のプログラムは動いていてもトランザクションとしては成り立たない。あの時、エニグモ様に「全く出来ていません。使えるものはないと思った方が良い。無理に使おうとする方がコストがかかる。」と、非常に残酷な宣言をした。そして同じ業界の人間が起こしたミスを何とかしてあげたいという気持ちと、すごく面白いビジネスモデルのシステムを一緒と作り上げたいという気持ちで開発をした。その気持ちは今でも同じだ。この本はそんな熱い気持ちを思い出し、維持させてくれた。
この数奇な出会いを作ってくれたSさんとTさんに改めて感謝をしたい。ありがとう。
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