20代はバーボン、30歳になってスコッチをやってきた。
そこそこスコッチを飲み漁り、やや探究心が薄れてきた。最近はラム酒を愉しんでいる。
というのも、スコッチ飲みに通っていた東京都府中市「アメリカン」が、下北沢にランバリオンバー「アグリコール」を2006年12月にオープンさせたのである。2006年秋に私も世田谷に引越したため、追い駆けられてきた格好になるが、馴染みの店を探す手間が省けた。
このアグリコールには100種類弱のラムが並んでいる。恐らくこれだけのラムが揃っているバーは、日本では珍しいと思う。
日本ではHABANA CLUBやLEMON HEARTが有名なラムだが、製法にこだわった美味いラムが多くあることには感心した。写真は、あのシャア少佐がファーストガンダムで飲んでいたラ・マニー(LA MAUNY)というカリブ海マルティニック島産のラムである。30年前には恐らく日本には輸入されていなかったこのラムがガンダムに登場するのも驚きであるが、味も良い。サラサラと口に入るが、ほのかなサトウキビの甘さとスパイス感、そして長いフィニッシュが続く。まるでスコッチである。しかも安い。
また、カクテルのベースにもよく使われる。中でも私が好きなものは「モヒート」だ。
モヒートはドライラムをベースにシロップ・ライムジュース・ミント葉・ソーダを、クラッシュアイスの詰まったグラスでステアして作る。「老人と海」の著者として有名な「ヘミングウェイ」も好んで飲んでいたそうである。彼のレシピにはビターリキュールが2ダッシュ入るそうで、このレシピをアグリコール川元さんに作ってもらった。確かにウマい。もともとミント葉をそのまま使うという異例の爽やかさを持つカクテルだが、少し私には甘い。そこにビターを加える(私は3ダッシュがお気に入り)ことで、5つの味覚全てを刺激するカクテルに変貌する。ぜひ、ヘミングウェイレシピのモヒートを試して欲しい。カリブの夕焼け空の自然にしか出せない色に包まれて、穏やかな悠久の波音を聴く自分が瞼に浮かぶことだろう。
ちなみに、普通はストローで頂きミント葉が口に入らないようにするが、私はストローを使わない。口に入ったミント葉を噛むことも、変化があって面白いものだ。また、ヘミングウェイもそうやって飲んでいたに違いないと思うからである。
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