初めての宅録に挑戦「Van Halen – Dreams」

自宅スタジオが出来上がり、以前からやってみたかった「宅録(自宅で録音)」に挑戦することにした。完成した作品を公開するので、聴いて欲しい。

▼課題曲とパート構成
Van Halen – Dreams

Drums:MIDI
Bass:MIDI
Acostic Piano:MIDI
Strings:MIDI
Acostic Guiter:Audio
Electric Guiter:Audio
Vocal:Audio(自分の声が低いので8va bassa)

▼作品
Dreams.mp3

▼機材
A.ギター:Epiphoneレスポール
E.ギター:Edwardsストラトキャスター
アンプシミュレーター:ZOOM G7.1ut
ボーカルマイク:SHURE SM57
ヘッドフォン:Audio Technicaのリスニング用
インタフェース:EDIROL UX-4FX
DAWソフト:Live 5.1.2
MIDI音源ソフト:Ultimate Sound Bank
アンプ:YAMAHA AV アンプ
スピーカー:YAMAHA 普通のオーディオ用+サブウーハー

▼打ち込み
DAWソフトは、いろいろサンプル製品を使ってみてLive5に決めた。慣れればどれも使いやすいのかも知れないが(確かに今となってはどれでも使える気がするが)、最初はこれほど分かりにくいソフトのジャンルはないと感じた。その点、Live5は自分がやろうとしていることがほぼ右クリックに登場したり、「このボタンなんだろ?」と思ってマウスオーバーすると左下にヘルプが出てきるので、大変使いやすい。また、各誌で絶賛されているように、リアルタイムで曲を流しながら何でもできるので、特にMixの時にエフェクターをインサートしたり抜いたりすると効果が分かりやすい。
ただ、付属のマニュアルは和訳がむちゃくちゃで分かりにくい。市販のHowTo本が出るといいのだが、ProToolsCubaseなどよりもユーザが少ないようで市販本はもちろん、雑誌でも紹介が少ない。
この記事を書いている時点ではLive6が登場している。エフェクターグループ(よく使うエフェクターの組み合わせと設定を保存できる)を作れるようになったことが目玉のようだが、私はそんなにエフェクターで音作りをしないようにしているので、今はアップグレードを見合わせている。

▼音色決め
Ultimate Sound BankというMIDI音源ソフトはLive5と同時購入すると15000円くらいで800音色くらい入っていたのでついでに購入したもの。確かに幅広く入っているのだが、ドラムにしてもベースにしても、「スネアの皮をもう少し張って、ミュート増やして乾いた音にしたいなぁ」とか細かい期待には答えてくれない。私が使えると思うドラム音色は2つくらい、ベースも2つくらいしかない。まぁ、リズム系は将来的には打ち込みではなく、Audio録音にしていくつもりなのでこだわらないでおこう。こだわってFX passion BFDというドラムシミュレーターやAmplitubeというベースシミュレーターのそれぞれサンプルを使ってみたが欲しくなりすぎる!これを購入するとコンピューターに頼って自分の演奏能力が落ちそうなので封印した。
その点、今回のパートにも使うピアノやストリングス(バイオリン、ビオラ、チェロのミックス)はほぼ満足している。出身がドラムなのであまり耳が肥えてないせいもあろうと思う。メロディー楽器出身の人は満足できないに違いない。

▼ギターレコーディング
今回はアコースティックとエレキの両方を使う。アコースティックギターは持ち合わせていないので、アンプシミュレーターでアコースティックのプリアンプ(音を増幅して大きな信号に変えるものです)を使って録音した。?1のアンプシミュレーターは実に様々なプリアンプが入っていて、エレキギターの方は、PEAVEY 5150 Van Halenモデルを使った。だって課題曲がVan Halenだからね。キャビネット(スピーカーです)も選べ、かつマイクのタイプ(コンデンサーかダイナミックか)や、マイクとキャビネットの距離も選べる。今回はアコースティックをコンデンサマイクで少し遠め、エレキギターをダイナミックマイクで超接近で録音。メリハリつけた。
エフェクターはコンプレッサーを薄くかけ、イコライザーで少しミドルをあげハイを落としたくらい。モジュレーション系は使わなかった。また空間系のコーラス・ディレイ・リバーブは、必要ならMix時に後がけすることにした。ということでアンプ特性を生かした原音に近い状態で録音した。
肝心のギターの腕はギター歴1年で大した事ない。特にソロはEddie Van Halenには絶対なれないので、かなり編曲している。そしてパンチイン・パンチアウトを設定して、うまくいくまでループ。OKテイクを探し出してから、つなぎあわせる。という、インチキな方法をとった。このつなぎあわせ作業にもLive5のリアルタイム性が光る。30msec前かぶりにして…なんていうのもリアルタイムでできるので作業が捗った。

▼ボーカルレコーディング
手持ちのマイクが楽器用のSM57しかないので、これで我慢。ゆくゆくはコンデンサーマイクが欲しいと思うが、レコーディングした曲のジャンルからするとロック系なので、ダイナミックマイクの方が向いているか?だとしたら、SHUREのガイコツマイクかなー。NANAも使っているし。。。
インタフェースにマイクプリアンプがついているのでそのまま直接つないでレコーディング。フカレ(マイクに大量に息をかけると「ポフッ」という音がでること)防止のために、ポップフィルター(TVでよく見る丸い金魚すくいみたいなの)を挟んでレコーディングした。ギターよりは短い時間で完了。英語の歌詞で何を言ってるか分からないがOKでしょう。
外付けのコンプレッサーがないので、DAWソフトのコンプレッサーを薄くかけた。薄くでも十分パンチが増すので、ボーカルにコンプレッサーは必須のエフェクターだと感じる。

▼ミキシング
これが一番大変だった。初めての経験で、迷いまくった。目的は7つのパートを全て聴けるように、かつお互いに邪魔しないように、かつパートの原音を殺さず…できるかそんなこと!と投げ出しそうになったが、30時間くらいかけて一応の完成を見た。
参考になったのは以下の書籍である。ネットにも情報提供してくれている人がいるかも知れないが、プロの情報を参考にしたくて、買い求めた。
 エンジニア直伝! エフェクト・テクニック基礎講座
 サウンドデザイナー2006.10月号
ミキシングに適した環境とはとても言えない、AVアンプ+スピーカー+サブウーハーの環境でミキシングしたせいか、自宅のこの環境とiPodで聴くにはそれなりだが、カーステレオで聴いてみるとキックがさっぱり聞こえず、かつこもっている。世の中のプロのミキシングエンジニア達の凄さを思い知った。どうやったらどんな環境でもいい感じにミックスできるんだろう。。。
まだまだミキシングは修行が必要と思うが、今回迷いまくった中でいくつかセオリーを見つけた。

1.まずは定位でミックスせよ
左右(パン)と前後(ボリュームフェーダー)で8割くらい完成する気がした。さらにプロは高低(音程、周波数)をも使って3次元でミックスするらしい。これに時間軸の概念も加わるので4次元だ。プロは恐ろしい。。。

2.あれこれエフェクトするな
最初コンプやリバーブ、ディレイにコーラス、イコライザーなど初心者にありがちなことをやってみた。するとどんどん分からなくなっていく。そうなると、手に負えない。最初から何度もやり直した。エフェクトは本当に必要な時にだけ使うこと。まずは1の定位ミックスが肝心なのだ。

3.体調が良い時にやれ
本当に集中が必要な作業だ。風邪を引いているときにミックスOKとしたものを、後日体調が良い時に聞いたら高音が足りなくてこもりすぎていた。コンピュータを使ってミックスすると言っても、その良し悪しを決めているのは人間の耳である。大きく体調に左右される。また集中も必要なので体力もいる。

▼マスタリング
本来は複数の曲をアルバム通してバランス良く聴かせるための作業のようだが、今回は1曲なのとCD出す気はないので、iPodに入れる作業をマスタリングということにする。これには、Live5からwavフォーマットで書き出し、iTunesでAACフォーマットに変換し、iTunesでiPodにダウンロードするという作業が必要になる。で、やってみるとLive5のノーマライズ(曲のピーク音にあわせて音量レベルを調整する)をやったせいか、wavでは市販曲並みのボリュームであったものが、AACにするとレベルが下がってしまった。この謎が分からなくて、今はこの曲のAACのデフォルトボリュームを140%にしている。
AACファイルにアーチスト名をつけて分類する関係上、バンド名を決めなくてはいけない。とっさに「楽団ひとりぼっち」と名付けた。劇団ひとりさん、軽~くパクりました。ごめんなさい。

▼そして聴いてみる
かれこれ50時間ほどかけたレコーディングだった。今は1日1度は聴いている。自分で全パートを録音した曲を聴くのは良いものだ。次の制作意欲も湧いて来る。

▼今後の課題
1.生ドラム録音
吸音の学習と投資が必要だ。マイクセットは購入済みで6本立っている。ミキサーもベリンガーのXENYX 2442FXを使っておりミキシングもできる。しかし、近所迷惑にならないように吸音が必要だ。遮音材は少しだが壁に入っている。ただ、低音域の吸音は難しいとも聞いている。悪戦苦闘しそうだ。。。

2.ミキシング
モニタースピーカーが必要だ。リスニング用のアンプやスピーカーは何らかの音色を付けるようにチューニングされている。秋葉原のLaOX MUSICVOXでモニタースピーカーを聴かせてもらったが、音の粒がハッキリ分かる感じがした。パワードモニターならアンプの影響もない(アンプ内蔵)ので、パワードモニターにしようと思う。

3.マスタリング
最終的なAACフォーマット時点のボリュームレベルを市販CDとあわせるためにはどうしたらよいのか?

▼さいごに
現在はVan Halen – Feels So GoodGuns'N Roses – November Rainをレコーディング中。パートの多い曲をあえて選択し、ミキシング能力を向上させていきたい。
そして、2007年末には全パート打ち込みなし、かつ作詞作曲は「楽団ひとりぼっち」というレコーディングをして、この場で発表したいと思う。乞うご期待。

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